お見舞い申し上げます。

 大変ご無沙汰しております。
 この一年いろいろあったり、いろいろではなかったりで、とにかくここを勝手にお休みしていました。そろそろどうにかと思っていた矢先にこの度の災害となりました。まずは被災地のみなさまには心よりお見舞い申し上げます。まだ不安な時が続いているのでしょうし、被害の全貌も見えないので本当に厳しい状況だと思います。
 昨年の地震の際にも同じようなことを書いたと思うので、繰り返しになるはずですが、一刻も早く落ち着いた状態になることを心からお祈りします。
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# by ohayashi71 | 2017-07-07 01:49

第51回:シンプソン/交響曲第3番

 世の中にブルックナーの作品の愛好家はそれなりに居ると思います。
 僕もその一人です。
 また、世の中にニールセンの作品の愛好家もそれなりに居ると思います。
 やはり僕もその一人です。
 この二人の作曲家が同時に好きな人も居ると思います。
 僕もそうです。
 では、ロバート・シンプソン(1921~97)の作品は?と言った瞬間にその数はここまでの人数からドンと減るのではないでしょうか。数多存在してきたクラシック音楽系の作曲家の中で、シンプソンの名前はまだマイナーだろうとは思います。とは言え、少なくとも上記の二人、ブルックナーとニールセンのどちらかでも好きな人であれば、一度はシンプソンの音楽に触れてみてはいかがかと。
 シンプソンはイギリスの作曲家で音楽番組のプロデュースも手掛けた人物です。また著書もあり、まだブルックナーやニールセンが彼らの母国圏以外での認知度が低かった1950~60年代に彼らを紹介する本を書いたりもしています。ということで、当然のことながら作曲家シンプソンにとってもブルックナーとニールセンは重要な位置を占めることになります。
 僕が初めてシンプソンを知ったのは20数年前だったと思います。当時<レコード芸術>か何かに音楽評論家の三浦淳史(1913~97)(伊福部昭や早坂文雄の盟友)が、マーラーのいくつかの交響曲演奏についてヤッシャ・ホーレンシュタイン(1898~1973)が指揮する録音を推奨していました。僕はそれでホーレンシュタインに興味を持った訳です。最初に彼の何を聴いたのかは覚えていませんが、好感を持ったのは確かで、それから彼の名を見つけるとちょこちょことディスクを入手していきました。マーラー、ブルックナー、ブラームス、ドヴォルジャークといって、ニールセンの交響曲第5番とかアンジェイ・パヌフニク(1914~91)というポーランド出身の作曲家の作品集とか。
 その流れの中で入手して聴くことになったのがシンプソンの交響曲第3番でした。1962年に作曲されたこの曲は2つの楽章からなります。演奏時間にして30分ちょっと。
 第1楽章はアレグロ・マ・ノン・トロッポで、始まって直ぐにエネルギッシュな動きを示します。その後音の強弱の移り変わりは頻繁に起こりますが、全体としては運動的な音楽が続いていきます。そして楽章の半ばに向かって執拗にティンパニの打音が繰り返される間、息長く頂点を目指していく場面が現れます。この流れを聴いているうちに、僕はニールセンの交響曲第5番の第1楽章を思い出しました。もちろん、そっくりそのまま構成をなぞっている訳ではありませんが、何か気分的なものとしては通じるのではないかと。またその音の運動のさまやオーケストラの響かせ方にはニールセン的なもの(ニールセンの交響曲第4番~第6番あたり)を強く感じます。
 第2楽章はアダージョ。薄く静かな響きで始まり、しばらくはぼんやりとした感じで音楽は続きますが、途中から音楽の動きは速められていきます。また同じようなことを言いますが、今度はニールセンの5番の第2楽章の途中に現れるスケルツォ的な音楽に通じる感じ。そう言いながらも僕はそれが「似ている」とか、まして「パクリ」だとは思いません。ブラームスの交響曲第1番が世に出た時、ハンス・フォン・ビューローがそれを「ベートーヴェンの第10交響曲が現れた」と評したのと同じようなものだと捉えてもらえれば。さて、先述の動きが最高潮に達した後は最初の静けさが戻ってきて、全曲が閉じられます。
 全体として旋律的ではありませんが、動機レヴェルでの音の動きの変化や積み重ねあるいは繰り返し(その延長線上に生じる息の長い進行→ブルックナー的)と、ダイナミクスの大きな振れ幅といったものが一体化した音楽とでも言えば良いのでしょうか。「新しさ」という点では特にどうということは無いのかもしれませんが、とは言え古臭さも無いように思います。
 まあ、そんな音楽を僕は面白く思った次第で、それからシンプソンの作品のCDを見つけると購入するようになりました。結果、聴いたものの全部を愛聴している訳ではありませんが、交響曲で言えば第3番の他に第2番、第6番、第7番、第9番とかは僕のお気に入りと言っても良い作品です。
 ニールセン的なものは6番や7番あたりで更に強くなっているようにも思いますが、9番(演奏時間にして50分)とかになると全曲の構成や音楽の流れ、そしてスケールの大きさの点でブルックナー的なものがはっきりと出ているように思えます。それはブルックナーの中でもとりわけ第9番からの影響なのではないかと。
 というロバート・シンプソンですが、まあもし最初に1曲ということであれば、やっぱり交響曲第3番かなあと。ディスクはシンプソンの交響曲全集!(全11曲)を完成させているヴァーノン・ハンドリー指揮のロイヤル・フィル(Hyperion)も良いと思いますが、前述のホーレンシュタイン盤(ロンドン響/Unicorn→NMC)をよりおススめしておきます。
f0306605_1363411.jpgf0306605_1365742.jpg(ホーレンシュタイン盤とハンドリー盤)
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# by ohayashi71 | 2016-06-22 01:40 | 本編

はしやすめ その5:タモリ

 <ブラタモリ>観てますか?
 僕は今の放送時間になってから仕事の都合で観られないことが多いのですが(録画機器も持っていないし)、かつては毎回欠かさず観ていたものです。もっと言うと今のようなシリーズとしての放送が始まる前にあった2008年のパイロット版(ま、テスト版ですね)から観ていたぐらいで、要はそれぐらいに楽しみで大好きな番組なのです。
 それから大分の人はよくご存じでしょうが、<笑っていいとも!>が始まった当初、大分は放送がありませんでしたし、始まってからも最初は正午スタートではなくて夕方4時か5時からのスタートだったように思います。テロップで「この番組は今日の正午から放送されたものです」的なものが流れたりと。30年ぐらいの放映期間の中で僕が観たのは多分最初の10数年だったのかなと。でもその時期が番組的にもいちばん面白かったんじゃないかなあと思いますね。これがもう10年ぐらい経ったらそもそも<いいとも>を観たことの無い世代が出てくるんでしょうけれど。
 今でも続いている番組で言えば<タモリ倶楽部>ですねえ。特に「空耳アワー」を観たいがために観ることも多いですし、「タモリ電車倶楽部」のような回は好きですねえ。ああ、あとは半年で終わってしまいましたが<ヨルタモリ>も面白かったですねえ。
 さてここまでテレビ番組のことしか書いてませんが、ここからようやく音楽の話を。
 タモリは5枚ほどレコード・アルバムを出しています。で、僕はその中で<タモリ>(1977/Sony Music Direct )<タモリ2>(1978/Sony Music Direct )という2枚のCDを持っています。
 そもそもタモリのレコードを買ったきっかけ。それは僕が緒川たまきの大ファンであることと関わっています。僕はひところ緒川たまきの出演する舞台公演を観に行くだけでなく、彼女にまつわるものなら何でも集めていたことがあります。大概は本、雑誌といった書籍でしたが、彼女がイメージキャラクターを務めた化粧品の特大ポスター(店頭用の)をオークションで入手したりもしたものです。
 さて、あるとき彼女が蕎麦をモチーフにしたコンピレーション・アルバムに参加することを知りました。<ソバアンビエント(SOB-A-MBIENT)>(ビクター)というけったいなものですが、小西康陽、アンジェラ・アキをはじめとするミュージシャンが参加した「ちゃんとした」アルバムなのです。その中の1曲に小西による<ちりぬるを>という曲があり、そこに緒川たまきと石坂浩二が参加しているというのです。早速CDを買って聴いてみると「そばや、そば~や」と延々と繰り返し歌われているところに緒川たまきと石坂浩二のセリフのかけあいが乗っかってくる、というまた不思議なトラックでした。これはこれで面白かったのですが、その後この<ちりぬるを>のPVも入ったDVD付きの<蕎麦あんびえんとスーパーデラックス>というアルバムが出ると知り、また購入しました。すると、<ちりぬるを>のPVを撮ったのは何と市川崑で、それはそれは贅沢な作品でした。
 タモリの話から相当離れましたが、この<ちりぬるを>の原曲がアルバム<タモリ>に入っていることをまた後で知り、そこで僕はそれを手間をだいぶかけて(=オークションで)ようやく入手したのでした。僕が入手した後に、一度再発されましたが、今はまた入手しづらくなっているかも。
 <ちりぬるを>の原曲とされているのは、<タモリ>の中では<アフリカ民族音楽ソバヤ>という曲でした。聴いてみます。アフリカの民俗音楽のような打楽器の打ち鳴らしとリズム、そこに特に意味があるとも思えないような奇声が加わります。やがてタモリのリード・ヴォーカルが始まります。カタカナ表記もしづらいような歌詞なのですが、どうやらこれハナモゲラ語です。ようはやっぱり全く意味は無い。当然アフリカのどこの民族の言葉でも何でもない。単に「アフリカっぽい」というだけのデタラメ(褒め言葉ですよ!)。その背景にず~っと「ソバヤ、ソバ~ヤ」という合いの手が歌われるのです。それが延々と続く。そして聴いているうちに、ドサクサなのかやけっぱちなのか「フロヤノニカイデ~(ソバヤ、ソバ~ヤ)」というのも聞こえてくる。
 もうね、これは素直に「くだらねえっ!」と言って笑うしかないですよ。でもそれが良いのですよ。因みにタモリのバックには山下洋輔(タモリを「発見」した人ですね)や坂田明といったジャズ・ミュージシャンも付いており、彼らも面白がってやっていたんだろうなあ、と思います。あ、もちろんタモリが大のジャズ愛好家であることはみなさんご存知ですよね。前にこの「はしやすめ」のシリーズでもご紹介したアート・ブレイキーの<ジ・アフリカン・ビート>と並べてみれば、タモリたちがいかにふざけて(でも、それらしく)やっているかが分かります。
 <いいとも>終了後に放送された<ヨルタモリ>の中で、タモリが世界各地の音楽をいかにもそれらしく歌っている姿に大うけした人は多いと思いますが、その原型は既に彼がデビューした頃には確立していたのです。
 <ブラタモリ>のマニアックなタモさんも、<ソバヤ>の無意味を極めるタモさんも、僕はどちらも大好きですねえ。
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# by ohayashi71 | 2016-06-18 18:24 | はしやすめ

第50回:ペルゴレージ/スターバト・マーテル

 前にアルヴォ・ペルトの<スターバト・マーテル>を取り上げましたが、今回はそこから250年ほど遡った頃の<スターバト・マーテル>を。
 ジョヴァンニ・バティスタ・ペルゴレージ(1710~36)は20代半ばという若さで世を去っていますが、彼の遺したいくつかの作品はクラシック音楽史上において重要な位置を占めています。その中のひとつは、後のモーツァルトの<フィガロの結婚>やロッシーニの<セビリヤの理髪師>といった喜劇的要素の強い系統の歌劇(オペラ・ブッファ)に繋がっていくことになる歌劇<奥様女中>です。これがペルゴレージ23歳の年の作品。そしてもうひとつが死の直前に書き上げた<スターバト・マーテル>です。
 ペルゴレージの<スターバト・マーテル(悲しみの聖母)>はソプラノとアルトの独唱、ヴァイオリン2部とヴィオラ、通奏低音という編成を採ります。
 第1曲「悲しみの母は立っていた」は、4分の4拍子で低音の8分音符の歩みの上にヴァイオリン2部とヴィオラがすっと折り重なってきます。モーツァルトの<レクイエム>の冒頭程の厳しさは無いかもしれませんが、悲しみ故の透徹の美がそこにはあるように思います。合奏に導かれてソプラノとアルトも入り、美しく歌い交わします。
 第2曲「呻き、悲しみ、歎くその魂を剣が貫いた」は、一転してテンポを早めての3拍子によるソプラノ独唱曲、第3曲「ああ、なんと悲しく、打ちのめされたことか」は前奏も置かずに始められる二重唱曲、と続いていきます。
 ペルゴレージの<スターバト・マーテル>は全部で12曲から成りますが、独唱と重唱の組み合わせ、曲ごとのテンポの切り替え、表情の変化が明確に描き分けられており、そういった対比が全体の劇的効果をより高めているように思われます。例えば第8曲「私の心を燃やしてください」が、速いテンポで激しく緊張感溢れる曲なのに対し、続く第9曲「聖なる母よ、どうかお願いします」では落ち着いたテンポで包容力のある温かみのある音楽が置かれていたりします。
 宗教的な作品としてはあまりに甘美かも知れませんし、歌劇の一場面のようなムードもあるかも知れません。しかし、どのような表現方法が採られているにせよ、ここには「悼む気持ち」が芯となって全体を貫いているように思います。最後の第12曲「肉体が滅びる時には」の前半は第1曲の悲しみと同じ雰囲気が表されるのです(本当の最後は速いテンポの「アーメン」の呼び交わしですが)。
 現在のように古楽系のスタイルが主流になる前には、それこそオペラティックなノリの演奏も普通に存在しており、その方向性であれば例えば1972年録音のミレッラ・フレーニとテレサ・ベルガンサが独唱を務めたエットーレ・グラチス盤(Archiv/ユニバーサル)とかかなと。もちろんこれはこれで面白いとは思いますが、僕は古楽系のすっきりしたスタイルの方がより好みだったりします。その中でひとつ挙げるとすれば1999年録音のクリストフ・ルセの指揮(レ・タラン・リリク)とバーバラ・ボニー、カウンター・テナーのアンドレアス・ショルによるものです(Decca/ユニバーサル)
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(ルセ盤)
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# by ohayashi71 | 2016-05-30 23:53 | 本編

一刻も早く平穏な時が訪れますように。

 ここは日頃音楽のことを書き連ねるためのブログですが、今回の地震災害にあたりひとこと。

 まず、今回の災害でお亡くなりになられた方のご遺族やご関係者の皆さまには心よりお悔やみ申し上げます。また被災された皆さま、現在も厳しい状況の中避難生活を送られている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
 今は故郷大分から離れて暮らしている私ですが、熊本県は非常に近しい土地であり、とても愛着を覚えている場所、景色がたくさんあるところです。ですからニュース映像等を通じて目にする光景に、大きなショックを受けています。
 まだこの災害が収束に向かっているかどうか分からない状況ですし、全く気を抜けない状況であることは承知していますが、皆さまに一刻も早くこれまでのような平穏な時が訪れますよう、心よりお祈りいたします。
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# by ohayashi71 | 2016-04-17 00:04


いつもコンサートの解説をお願いしている若林さんに、毎月オススメのCDを伺います!


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