第6回:プーランク/グローリア

 年が明けました。
 今年もそれなりにお付き合いいただると幸いです。
 さて、この時期だとニュー・イヤー・コンサートのことを話題にした方が良いのかもしれませんが、今日は、しません。特に深い理由はありません。まあ、ここで書くならコレ、というのはあるのですが、それはまたの機会に。
 で、今回はフランシス・プーランク(1899~1963)の<グローリア>を。
 僕がプーランクの音楽をちゃんと聴いたのは、最初の職場で初めて解説を書くことになった時だったと思います。ものはピアノと管楽器のための六重奏曲でした。軽妙さとシリアスさが隣り合わせになっていて、とても不思議な感じがしたのですが、その後、プーランクの他の作品をいろいろ聴いていくと、その隣り合わせは彼の音楽ではしばしば見られるものだということが分かってきました。
 <グローリア>を知ったのも多分その解説を書くための参考のひとつとして聴いたからだろうと思います。僕が入手したCDはジョルジュ・プレートルがフランス国立放送管と合唱団、それにソプラノ独唱のロザンナ・カルテりと1961年に録音したものでした(EMI/ワーナー)。最初はカップリングされていた<オルガン、弦楽合奏とティンパニのための協奏曲>(オルガンは作曲家としても有名なモーリス・デュリュフレ)に興味があって買ったもので、それはそれで作品自体も演奏も素晴らしい内容だったのですが、<グローリア>にも直ぐ惹かれました。
 さすがに宗教曲(プーランクは敬虔なカトリックだったそうです)なので、他の作品に比べると軽妙さは薄いかもしれませんが、荘重過ぎない輝かしさと真摯さ、そして何よりも随所で聞こえてくる美しいメロディ。声楽を伴うので、もちろんメロディアスであって欲しいのですが、それは大衆的なセンスを持ったメロディと言えるかもしれません。大衆的な、と書きましたが、それは例えばシャンソンのような歌謡曲にも通じるセンス、と言い換えても良いです。いわゆるクラシック音楽的な、少し意地悪な表現をすれば取り澄ましたような「美メロ」なんかよりも、もっとストレートに現代人である僕たちの感覚に訴えかけられる、親しみやすい美しさが含まれているように思います。f0306605_233498.jpg
 プレートルの<グローリア>のディスクはプーランクが立ち会って行われた世界初録音でした。だからなのかもしれませんが、全曲通して作品に対する熱い共感がビンビンに伝わってくる演奏です。プレートルの他にもいくつかの録音を聴いてはいますが、結局僕はプレートルのCDをいちばん多く聴いています。オケにしても合唱にしても、他の演奏の方が綺麗に整っていたり、スマートだったりはすることがあるのですが、プレートル盤の何だかザラリとした感触が、前述した作品への共感に結び付いているように思えて仕方がないのです。更に、ソプラノ独唱のカルテりが美しい声で本当に素晴らしい。とは言え、現在、プレートル盤はプーランクの作品全集20枚組のセットぐらいでしか入手が難しいらしいので、例えばリチャード・ヒコックス指揮のもの(Virgin/ワーナー)とかでもアリかと。
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by ohayashi71 | 2014-01-08 02:35 | 本編


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