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第51回:シンプソン/交響曲第3番

 世の中にブルックナーの作品の愛好家はそれなりに居ると思います。
 僕もその一人です。
 また、世の中にニールセンの作品の愛好家もそれなりに居ると思います。
 やはり僕もその一人です。
 この二人の作曲家が同時に好きな人も居ると思います。
 僕もそうです。
 では、ロバート・シンプソン(1921~97)の作品は?と言った瞬間にその数はここまでの人数からドンと減るのではないでしょうか。数多存在してきたクラシック音楽系の作曲家の中で、シンプソンの名前はまだマイナーだろうとは思います。とは言え、少なくとも上記の二人、ブルックナーとニールセンのどちらかでも好きな人であれば、一度はシンプソンの音楽に触れてみてはいかがかと。
 シンプソンはイギリスの作曲家で音楽番組のプロデュースも手掛けた人物です。また著書もあり、まだブルックナーやニールセンが彼らの母国圏以外での認知度が低かった1950~60年代に彼らを紹介する本を書いたりもしています。ということで、当然のことながら作曲家シンプソンにとってもブルックナーとニールセンは重要な位置を占めることになります。
 僕が初めてシンプソンを知ったのは20数年前だったと思います。当時<レコード芸術>か何かに音楽評論家の三浦淳史(1913~97)(伊福部昭や早坂文雄の盟友)が、マーラーのいくつかの交響曲演奏についてヤッシャ・ホーレンシュタイン(1898~1973)が指揮する録音を推奨していました。僕はそれでホーレンシュタインに興味を持った訳です。最初に彼の何を聴いたのかは覚えていませんが、好感を持ったのは確かで、それから彼の名を見つけるとちょこちょことディスクを入手していきました。マーラー、ブルックナー、ブラームス、ドヴォルジャークといって、ニールセンの交響曲第5番とかアンジェイ・パヌフニク(1914~91)というポーランド出身の作曲家の作品集とか。
 その流れの中で入手して聴くことになったのがシンプソンの交響曲第3番でした。1962年に作曲されたこの曲は2つの楽章からなります。演奏時間にして30分ちょっと。
 第1楽章はアレグロ・マ・ノン・トロッポで、始まって直ぐにエネルギッシュな動きを示します。その後音の強弱の移り変わりは頻繁に起こりますが、全体としては運動的な音楽が続いていきます。そして楽章の半ばに向かって執拗にティンパニの打音が繰り返される間、息長く頂点を目指していく場面が現れます。この流れを聴いているうちに、僕はニールセンの交響曲第5番の第1楽章を思い出しました。もちろん、そっくりそのまま構成をなぞっている訳ではありませんが、何か気分的なものとしては通じるのではないかと。またその音の運動のさまやオーケストラの響かせ方にはニールセン的なもの(ニールセンの交響曲第4番~第6番あたり)を強く感じます。
 第2楽章はアダージョ。薄く静かな響きで始まり、しばらくはぼんやりとした感じで音楽は続きますが、途中から音楽の動きは速められていきます。また同じようなことを言いますが、今度はニールセンの5番の第2楽章の途中に現れるスケルツォ的な音楽に通じる感じ。そう言いながらも僕はそれが「似ている」とか、まして「パクリ」だとは思いません。ブラームスの交響曲第1番が世に出た時、ハンス・フォン・ビューローがそれを「ベートーヴェンの第10交響曲が現れた」と評したのと同じようなものだと捉えてもらえれば。さて、先述の動きが最高潮に達した後は最初の静けさが戻ってきて、全曲が閉じられます。
 全体として旋律的ではありませんが、動機レヴェルでの音の動きの変化や積み重ねあるいは繰り返し(その延長線上に生じる息の長い進行→ブルックナー的)と、ダイナミクスの大きな振れ幅といったものが一体化した音楽とでも言えば良いのでしょうか。「新しさ」という点では特にどうということは無いのかもしれませんが、とは言え古臭さも無いように思います。
 まあ、そんな音楽を僕は面白く思った次第で、それからシンプソンの作品のCDを見つけると購入するようになりました。結果、聴いたものの全部を愛聴している訳ではありませんが、交響曲で言えば第3番の他に第2番、第6番、第7番、第9番とかは僕のお気に入りと言っても良い作品です。
 ニールセン的なものは6番や7番あたりで更に強くなっているようにも思いますが、9番(演奏時間にして50分)とかになると全曲の構成や音楽の流れ、そしてスケールの大きさの点でブルックナー的なものがはっきりと出ているように思えます。それはブルックナーの中でもとりわけ第9番からの影響なのではないかと。
 というロバート・シンプソンですが、まあもし最初に1曲ということであれば、やっぱり交響曲第3番かなあと。ディスクはシンプソンの交響曲全集!(全11曲)を完成させているヴァーノン・ハンドリー指揮のロイヤル・フィル(Hyperion)も良いと思いますが、前述のホーレンシュタイン盤(ロンドン響/Unicorn→NMC)をよりおススめしておきます。
f0306605_1363411.jpgf0306605_1365742.jpg(ホーレンシュタイン盤とハンドリー盤)
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by ohayashi71 | 2016-06-22 01:40 | 本編

はしやすめ その5:タモリ

 <ブラタモリ>観てますか?
 僕は今の放送時間になってから仕事の都合で観られないことが多いのですが(録画機器も持っていないし)、かつては毎回欠かさず観ていたものです。もっと言うと今のようなシリーズとしての放送が始まる前にあった2008年のパイロット版(ま、テスト版ですね)から観ていたぐらいで、要はそれぐらいに楽しみで大好きな番組なのです。
 それから大分の人はよくご存じでしょうが、<笑っていいとも!>が始まった当初、大分は放送がありませんでしたし、始まってからも最初は正午スタートではなくて夕方4時か5時からのスタートだったように思います。テロップで「この番組は今日の正午から放送されたものです」的なものが流れたりと。30年ぐらいの放映期間の中で僕が観たのは多分最初の10数年だったのかなと。でもその時期が番組的にもいちばん面白かったんじゃないかなあと思いますね。これがもう10年ぐらい経ったらそもそも<いいとも>を観たことの無い世代が出てくるんでしょうけれど。
 今でも続いている番組で言えば<タモリ倶楽部>ですねえ。特に「空耳アワー」を観たいがために観ることも多いですし、「タモリ電車倶楽部」のような回は好きですねえ。ああ、あとは半年で終わってしまいましたが<ヨルタモリ>も面白かったですねえ。
 さてここまでテレビ番組のことしか書いてませんが、ここからようやく音楽の話を。
 タモリは5枚ほどレコード・アルバムを出しています。で、僕はその中で<タモリ>(1977/Sony Music Direct )<タモリ2>(1978/Sony Music Direct )という2枚のCDを持っています。
 そもそもタモリのレコードを買ったきっかけ。それは僕が緒川たまきの大ファンであることと関わっています。僕はひところ緒川たまきの出演する舞台公演を観に行くだけでなく、彼女にまつわるものなら何でも集めていたことがあります。大概は本、雑誌といった書籍でしたが、彼女がイメージキャラクターを務めた化粧品の特大ポスター(店頭用の)をオークションで入手したりもしたものです。
 さて、あるとき彼女が蕎麦をモチーフにしたコンピレーション・アルバムに参加することを知りました。<ソバアンビエント(SOB-A-MBIENT)>(ビクター)というけったいなものですが、小西康陽、アンジェラ・アキをはじめとするミュージシャンが参加した「ちゃんとした」アルバムなのです。その中の1曲に小西による<ちりぬるを>という曲があり、そこに緒川たまきと石坂浩二が参加しているというのです。早速CDを買って聴いてみると「そばや、そば~や」と延々と繰り返し歌われているところに緒川たまきと石坂浩二のセリフのかけあいが乗っかってくる、というまた不思議なトラックでした。これはこれで面白かったのですが、その後この<ちりぬるを>のPVも入ったDVD付きの<蕎麦あんびえんとスーパーデラックス>というアルバムが出ると知り、また購入しました。すると、<ちりぬるを>のPVを撮ったのは何と市川崑で、それはそれは贅沢な作品でした。
 タモリの話から相当離れましたが、この<ちりぬるを>の原曲がアルバム<タモリ>に入っていることをまた後で知り、そこで僕はそれを手間をだいぶかけて(=オークションで)ようやく入手したのでした。僕が入手した後に、一度再発されましたが、今はまた入手しづらくなっているかも。
 <ちりぬるを>の原曲とされているのは、<タモリ>の中では<アフリカ民族音楽ソバヤ>という曲でした。聴いてみます。アフリカの民俗音楽のような打楽器の打ち鳴らしとリズム、そこに特に意味があるとも思えないような奇声が加わります。やがてタモリのリード・ヴォーカルが始まります。カタカナ表記もしづらいような歌詞なのですが、どうやらこれハナモゲラ語です。ようはやっぱり全く意味は無い。当然アフリカのどこの民族の言葉でも何でもない。単に「アフリカっぽい」というだけのデタラメ(褒め言葉ですよ!)。その背景にず~っと「ソバヤ、ソバ~ヤ」という合いの手が歌われるのです。それが延々と続く。そして聴いているうちに、ドサクサなのかやけっぱちなのか「フロヤノニカイデ~(ソバヤ、ソバ~ヤ)」というのも聞こえてくる。
 もうね、これは素直に「くだらねえっ!」と言って笑うしかないですよ。でもそれが良いのですよ。因みにタモリのバックには山下洋輔(タモリを「発見」した人ですね)や坂田明といったジャズ・ミュージシャンも付いており、彼らも面白がってやっていたんだろうなあ、と思います。あ、もちろんタモリが大のジャズ愛好家であることはみなさんご存知ですよね。前にこの「はしやすめ」のシリーズでもご紹介したアート・ブレイキーの<ジ・アフリカン・ビート>と並べてみれば、タモリたちがいかにふざけて(でも、それらしく)やっているかが分かります。
 <いいとも>終了後に放送された<ヨルタモリ>の中で、タモリが世界各地の音楽をいかにもそれらしく歌っている姿に大うけした人は多いと思いますが、その原型は既に彼がデビューした頃には確立していたのです。
 <ブラタモリ>のマニアックなタモさんも、<ソバヤ>の無意味を極めるタモさんも、僕はどちらも大好きですねえ。
f0306605_18231961.jpg
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by ohayashi71 | 2016-06-18 18:24 | はしやすめ


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